名門ゴルフ場と聞いて、皆さんはどんなゴルフ場を思い浮かべるでしょうか。名門ゴルフ場と呼ばれるゴルフ場には、そう呼ばれるにふさわしい特徴が備わっています。そうした特徴の中でも、設計者のこだわり、ゴルフ場の歴史、プロツアーやトーナメントの開催実績など、知ればますます名門ゴルフ場でのラウンドを楽しめること間違いなしの情報を盛り込みながら、ゴルフ場の紹介を行っていきます。今回は、歴史と伝統ある古都、京都で名門といわれるゴルフ場を3ヶ所ピックアップしました。
京都府にある名門ゴルフ場
戦後初の新築ゴルフ場「京都ゴルフクラブ 上賀茂コース」
京都ゴルフクラブ上賀茂コースは、1948年(昭和23年)開場のゴルフ場です。太平洋戦争後、占領軍の娯楽施設として建設が進められ、戦後初の新築ゴルフ場として京都の地に誕生しました。設計は、京都に進駐していた米軍第1軍団軍政官シェフィールド大佐で、秩父、小金井、観音崎など数々のゴルフ場を手がけた安達貞市氏が施工を引き受けました。建設地の一部は、上賀茂神社の神森となっていたため、当初は神社関係者の反対も大きかったのですが、交渉の末、貸与という形で神社の一部の提供を受けることに成功しました。その結果、御神体の「神山」と葵祭の「御阿礼所」という神域を抱えた、日本でも珍しいゴルフ場が誕生することになります。
京都にふさわしい、日本庭園を彷彿とさせる風光明媚な18ホールです。全体的にフラットなコースであることが特徴で、コース全体でわずか15mの高低差となっています。名物の9番ホールでは、ティーグラウンドの前にある池越えが挑戦者にとって大きなプレッシャーとなって立ちはだかります。100ヤードしっかり打つことができないと越えることができないこと、池の先にあるグリーンは砲台グリーンである上に、周囲に多くのバンカーが配置されていることなどから、挑戦しがいのあるホールになっていると言えます。14番ホールは浮島グリーンで、特にコントロールの正確さが要求されるホールです。
アクセスの良さも魅力のゴルフ場で、京都市内からは車で約20分という場所にあります。
名門をコンセプトにした設計「城陽カントリー倶楽部」
城陽カントリー倶楽部は、「名門」をコンセプトに建設が開始された倶楽部です。1957年(昭和32年)にカナダカップで日本が個人・団体ともに優勝を飾ったのを背景としたゴルフブームに乗じて、初代キャプテンの寺田甚吉氏と設計者の佐藤儀一氏らが中心となって建設を進めました。寺田甚吉氏は、「いい倶楽部とは、いいメンバー・いいロケーション・いいコース」というポリシーの持ち主で、完成までの三年間、ゴム長靴、ジャンパー姿で自ら現場の指揮をとるほどコースの建設に熱意を注いだそうです。
アリソン設計の兵庫の名門廣野ゴルフクラブを意識したコースは、第一打は広く、その後徐々に小さな砲台グリーンへとコースが絞られていく造りで、グリーン周りのバンカーは彫りが深く配置も戦略的です。東コースと西コースの2コースからなる36ホールで、それぞれのコースで違った味を楽しめます。東コースはフェアウェイが広く距離も長くなっており、「剛のコース」と称される一方、西コースは「柔のコース」と称され、距離は短いながらも、フェアウェイの起伏や効果的な配置のバンカーがあるために攻略には繊細な技術を要します。
クラブハウスは、廣野ゴルフクラブのスペイン風の造りとは趣を異にし、京都という場所柄を生かした日本風の造りになっています。
アジアパシフィック・パナソニックオープンや、京都レディースオープン、関西オープンゴルフ選手権など多くの大会が開催されていることからも、名門と呼ばれるにふさわしいゴルフ場であることが伺えます。
個人の財力で建設されたプライベートクラブ「田辺カントリー倶楽部」
田辺カントリー倶楽部は、1960年(昭和35年)に大阪製鋼社主の高石義雄氏個人の財力だけで誕生しました。こうしたプライベートクラブはおそらく戦後唯一と言われており、日本ゴルフ史の中でも南郷三郎氏が神戸に建設した舞子カントリークラブ以来です。1958年(昭和33年)、第一次ゴルフブームで休日にはスタート予約も困難という状況のもと、仲間だけでいつでもプレーできるゴルフ場を作りたいという願いから計画がスタートしたという背景があります。
設計は廣野ゴルフクラブキャプテンの佐藤儀一氏が担当しており、関西では珍しいフラットな丘陵コースです。アウトコースは距離が長くフェアウェイが広いことが特徴である一方、インコースは比較的起伏があり、ティーショットの落下点にマウンドやバンカーが配置されているため、正確なコントロールが必要となります。ライの変化にも柔軟に対応していく必要がありそうです。また、全体的にグリーンの難易度が高いため、最後まで気が抜けません。
京都滋賀オープン選手権競技決勝、関西グランドシニア選手権決勝、関西オープンゴルフ選手権競技といった公式競技の開催も多く、名門ゴルフ場たる所以が感じられます。
基本的に会員制となっていますが、同伴ありでビジターのラウンドも可能です。
まとめ
いかがでしたか。
京都の名門ゴルフ場は、京都という立地を生かした日本風の造りのクラブハウスやコースが魅力の一つになっています。趣が漂う空間の中で、普段の日常から離れて特別なひとときを楽しむことができるかもしれません。一方、そうした雰囲気や景観の素晴らしさだけではなく、コースの設計へのこだわりの強さも名門ならではの特徴の一つです。数多くのトーナメントが開催されプロもラウンドするゴルフ場で、腕試しをしてみるのも良いのではないでしょうか。
ぜひこの記事をゴルフ場選びの参考にして、ラウンドを楽しんできてください。
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