皆さまはゴルフの起源や歴史についてご存知でしょうか?
なんとなく“英国発祥の紳士のスポーツ”というイメージをお持ちかもしれません。しかし実際にはゴルフの起源は、「諸説あれども定説なし」です。本記事では、ゴルフ発祥の有力説やゴルフの歴史をご紹介していきます。ゴルフを愛する者として、知っておいて損はありませんので、ぜひ楽しく読み進めてみてください。

ゴルフの起源・発祥説

ゴルフの起源にはいくつかの説がありますが、どの説も決め手に欠いており定説と呼べるものは存在しません。無論、「発祥」や「元祖」といった称号は、誰もが欲しがるものですので、無理はないかもしれませんが、「我こそがゴルフ発祥の地だ」と多くの国が主張しています。その中でも有名、有力と言われている説をいくつかご紹介します。

発祥説①スコットランドの羊飼いの遊び

有名な説のひとつにスコットランド発祥説があります。12世紀にある羊飼いが暇を潰すために、先の曲がった杖で打った小石がたまたま野ウサギの巣に入ったそうです。その遊びが羊飼いたちの間に広まり、ゴルフに発展したという内容となっています。日本では定説として認識している人も多いのですが、根拠に乏しく真偽を疑う研究者も少なくありません。スコットランド人がゴルフの発祥を自国のものにしようと考えて作られた空想の物語とも言われています。

発祥説②オランダの「コルベン(Kolven)」

お次はオランダ説。真鍮でできた棒で革製のボールを打ち、離れたところにある別のボールにより少ない打数で当てる「コルベン(Kolven)」というゲームが起源となったという説です。1,000ヤード×4ホールをプレーしていたという記録が残っていること、近年オランダからスコットランドへゴルフボールが輸出されていたことを証明する書類が見つかったこともあり、オランダ説を最有力とする見方が強くなっています。コルベン(Kolven)はゴルフの語源になったとも言われています。オランダからスコットランドへ広まっていく過程で「Kolf」と呼ばれるようになり、後に頭文字がGに変わり「Golf」と呼ばれるようになったと主張する研究者も存在します。

発祥説③フランスの「クロス」

過去の文献をベースにするとフランス発祥説も有力で、中世のフランスで流行した「クロス」という競技が起源になったという説です。「クロス」は先の曲がった棒で球を打ち、より少ない打数で穴に入れた人が勝ちという競技で、1244年の文献に登場しています。まさに、ゴルフのルールそのものです。1360年にベルギーで「コルベン」、1387年オランダで「コルフ」が文献に登場していますので、原型となる競技はフランスで誕生し、ベルギー、オランダ、スコットランドに渡ったと考えることができます。

ローマ帝国、中国、日本も?その他の発祥説

その他にもローマ帝国の「paganica(パガニカ)」という遊びを起源とする説、中国の「捶丸(チュイワン)」という競技を起源とする説など、多くの発祥説が存在します。実は日本もゴルフの発祥地に名乗りを挙げたことがあります。奈良時代に流行った「打毬(たぎゅう)」という貴族の遊びが起源となったという説です。しかし、この主張は戦時中に外国の遊びを禁じる風潮への対策であり、信憑性には欠けるという見方が一般的です。つまり、ゴルフの禁止を食い止めたい愛好家が、ゴルフは外国から伝来したものではなく、日本古来の遊びであると主張するためのこじつけだったということになります。

近代ゴルフの誕生と発展

前項ではゴルフの起源についていくつかの発祥説をご紹介してきました。ここからは定説が明らかではない発祥はさておき、ゴルフがどのようにして現代の形になり、世界に広まったのかをご説明していきます。近代ゴルフの誕生と発展においては、間違いなくスコットランドの功績が大きく、研究者の間でも共通認識となっています。

ゴルフが初めて文献に登場したのは1457年

前述した通り、ゴルフの起源には様々な説があり定説と呼べるものは存在しません。しかし、ゴルフを現代の形に発展させたのは間違いなくスコットランドであり、それが神聖な地と呼ばれる所以なのです。「ゴルフ」が初めて文献に登場するのは1457年、当時のスコットランド国王によるゴルフ禁止令。あまりにもゴルフがおもしろいので弓の練習をサボってしまう貴族に対するものだったそうです。(禁止令が出た後も、無視してゴルフを続けたそうですが…)

成文化されたゴルフルールが作られ、徐々に世界に広まっていく

1754年には、R&A(全英ゴルフ協会)の前身であるSaint Andrews Society of Golfersによって成文化されたルールの原型が作られました。その後しばらく、ゴルフはスコットランド国内の一部の人たちによって楽しまれていましたが、1860年の第1回「全英オープン」の開催を皮切りにゴルフ場の数も増えていきました。1880年代にはイングランドでゴルフが大流行、1890年代にはアメリカにもその流れが波及し、世界的なスポーツとしての地位を確立していきました。その後、間も無く、ゴルフは日本にも伝来し、多くの日本国民によって楽しまれるようになりました。

ゴルフルールの変遷

ここからは「ルール」にスポットライトを当てて、ゴルフの歴史をご紹介していきます。ゴルフルールは土台となる「セント・アンドリュースの13ヵ条」を元に、時代にあった内容となるよう、定期的に調整が施されています。

ゴルフルールの原型「セント・アンドリュースの13ヵ条」

現在のR&A(全英ゴルフ協会)の前身であるSaint Andrews Society of Golfersが1754年に作ったゴルフルールの原型が「セント・アンドリュースの13ヵ条」です。ゴルフルールが初めて明文化された価値あるものとなっており、現在でもその精神が受け継がれ、ルールの礎となっています。特に有名なのは第10条、「must be played where it lies(あるがままにプレーする)」という項目。ゴルフの大前提として今も変わらず重要視されています。その他にも第3条「ひとたびティーショットをしてしまえば、他のボールと交換を禁止する」といった項目は現行のルールでも息づくものとなっています。

マッチプレーからストロークプレーへ

ゴルフが競技として本格的に行われるようになった当初は、競技人口もそれほど多くありませんでしたので、2名のプレイヤーが1ホールごとに勝敗を競うマッチプレーが主流でした。しかし、競技への参加者が増えるにあたり、強いもの同士がトーナメントの序盤で対戦することの不公平感、何度もラウンドを繰り返す時間効率の悪さが指摘されるようになり、全ホールを周り終えた後のスコアを競うストロークプレー方式が考案されました。その後は、公平性が高く、時間効率にも優れたストロークプレー方式が主流となり、多くの競技大会が開催されてきました。

時代に合わせたルール改定

ゴルフルールはR&A (英国 ゴルフ協会) と USGA (米国 ゴルフ協会) によって4年に一度改定されるのが通例となっており、大きな改定は大抵このタイミングで行われます。直近では2008年、2012年、2016年にルールの見直しが行われており、高反発ドライバーの規制、ハザード内のボールの確認を認める、アドレス時にボールが動いた時プレイヤーに原因がなければ無罰とするなど、柔軟な姿勢で少しずつ改良されてきました。アスリートからアベレージまで多くのプレイヤーがゴルフを楽しめるよう、時代に合わせてルールにも工夫が加えられているのです。
4年に一度の周期には反しますが、深刻なゴルフ離れに歯止めをかけるべく2019年にも大きなルール改定が行われました。グリーン上のスパイクマークの修復、自打球や2度打ちなど、不可解と言われていたペナルティーの廃止などを中心に大きくルールが見直されています。

競技大会の歴史

ここからは、競技大会の歴史について触れていきたいと思います。1860年に始まった全英オープンや歴史ある世界四大大会、オリンピックを中心にご紹介していきます。

世界最古のゴルフ選手権「全英オープン」

世界で最も歴史のあるゴルフトーナメントは1860年に第1回大会が開催された「全英オープン」です。第1回大会の参加者はわずか8名だったそうですが、12ホール×3日間の計36ホールのストローク方式で行われました。全英オープンの正式名称は「The Open Championship」。イギリス以外では「British Open(ブリティッシュオープン)」と呼ばれていますが、イギリス国内の人は歴史ある大会に経緯を表して「The Open(ジ・オープン)」と呼ぶそうです。
その後、ゴルフの普及とともに多くのトーナメントが開催されるようになり、全英オープンと並んで世界四大大会と呼ばれる大会も次々に誕生しました。全米オープンは1895年、全米プロゴルフ選手権は1916年、マスターズ・トーナメントは1934年に第1回大会が開催され、現在に至るまで長い歴史の糸を紡いでいます。

オリンピックとゴルフ

ゴルフがオリンピック競技に採用されたのは長い歴史の中でも1900年のパリ五輪、1904年のセントルイス五輪、2016年のリオデジャネイロ五輪の3大会だけです。パリ大会、セントルイス大会と2大会続けてゴルフ競技が開催されましたが、その後は競技時間が長くなりすぎることなどを理由にオリンピックでの競技は廃止されてきました。それから112年の時を経て、2016年のリオ五輪で競技種目として復活しました。しかし、五輪競技に復活することで、選手のスケジュールがタイトになりすぎること、五輪出場によって選手が受ける恩恵が小さいことなど、新たな問題も持ち上がっています。2024年まではゴルフが五輪競技となることが決まっていますが、その後の見通しはまだ立っていません。
ちなみに、2020年の東京五輪では安倍内閣総理大臣とトランプ大統領のゴルフ外交の舞台となったことでも有名な名門コース「霞ヶ関カンツリー倶楽部」がゴルフ競技の会場となることが決まっています。日本国内で低迷しているゴルフ人気の復活に一役買って欲しいものですね。

まとめ

ゴルフの起源や歴史についてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
ゴルフ発祥の地にあれだけ多くの国が名乗りを挙げているのは少し意外だったかもしれません。もし、ゴルフの起源について聞かれることがあれば「オランダやフランスあたりが有力だけど、定説はないんだよね。」などと答えておけば、一目置かれるかもしれませんよ。その他にも本記事でご紹介してきた内容はラウンド中の小話のネタにぴったりです。同伴者の方との会話が弾むきっかけになれば幸いです。

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