霞ケ関カンツリー倶楽部

埼玉県川越市の霞ヶ関カンツリー倶楽部は言わずと知れた老舗の名門コースで、2020年の東京オリンピックゴルフ競技の会場となったことでも知られています。閉ざされた倶楽部の扉が開きつつあり、ゴルファー憧れのコースです。

黒須銀行(現埼玉りそな銀行)の創業者が土地を提供し、ゴルフ界草創期の先人達により1929年に18ホールで開場。翌年視察に訪れた英国人C・H・アリソン氏の、「世界的な水辺のパー3に」との助言を受けて名物ホールが誕生しました。その後1932年に待望の西コースができ、日本で最初の36ホールのゴルフ場となります。戦争をはさみ復旧、オリンピック開催のため東コースは距離を延ばし全面大改修で、日本初の2グリーンは大きな1グリーンになりました。

原則キャディー付きの歩行スタイルで、フラットな林間コースですが改修された東コースはトーナメントティーからで7,400ヤードを超えるロングコースです。バンカーの数は130ヶ所としっかりガードされたグリーンは大きくうねり、速さが加わると難易度はさらに増します。井上誠一氏の設計による西コースは、日本画のような美しさに戦略性を合わせ持ち、松の木による空中ハザードが自然と調和した優美なコースレイアウトです。

平成になって立て替えられたシックな倶楽部ハウスには、ガラス張りのレストランや、バーテンダーのいるサロンがあり本格的なカクテルを味わえます。レストランは直営ではなくホテルニューオータニに委託され、看板メニューは“黒毛和牛のやわらかビーフシチュー”です。名物アップルパイは戦後、米軍に接収された時にメニューに加わり、当時と同じレシピで作られており人気です。昼食時には汗をかいたら着替え、冬場の防寒用衣服は脱いで入るのがマナーとされています。

プレーファーストが推奨され、ロッカー(メンバーとは別室)の扉にも書かれており、ハーフラウンド1時間50分が目安です。キャディーさんが帯同していてもバンカーの砂ならしやディボットの目土はプレーヤー自身の手で行います。ゴルフバッグの重量は11キログラムまで。服装規定は倶楽部の品位と伝統を守るため、たくさんの取り決めがあります。例えば派手な色(原色など)や、半袖の下に着るアンダーウェアーはだめ。ミニスカートもだめです。心配な時は同伴のメンバーさんに確認が必要です。

伝統ある霞ヶ関カンツリークラブは、アメリカ大統領と日本の内閣総理大臣とのいわゆる『ゴルフ外交』の舞台にもなり、オリンピック開催予定の会場としても日本のみならず海外にも注目されています。機会があれば迷わずラウンドするべきです。