2019年1月1日からゴルフルールが大改正されています。今回のルール改正はR&A(ロイヤル・アンド・エンシェント・ゴルフクラブ・オブ・セントアンドリュース)とUSGA(全米ゴルフ協会)が主体となってとりまとめており、ルールを簡素化することで深刻なゴルフ離れを食い止め、ゴルフ人口を増やそうという意図があります。
ですから、アベレージゴルファーにとっては歓迎すべきルール変更がその大部分を占めており、上手に活用すれば有利にプレーを進めることができます。

コースエリアの名称変更に始まり、救済やドロップ、バンカー、そしてグリーン上におけるルール、ローカルルールとして採用されたOBやロストボール時の対処など、プレーに関わるルール改正が盛りだくさん!

本記事では、2019年から施行されたゴルフルール改正の概要と変更点をまとめています。
2019年からの新規則の概要と旧ルールからの変更点の確認にお役立てください。

2019年のゴルフルール改正の概要と変更点「コースエリアの名称変更」

「ティーインググラウンド」は「ティーイングエリア」に名称変更

2018年まで適用されていた旧ルールでは、各ホールでティーショットを打つエリア(2つのティーマーカーを結んだ直線から後方に2クラブレングスの範囲内)のことを、ティーインググラウンド呼んでいましたが、2019年から「ティーイングエリア」という名称に変わっています。

「スルー・ザ・グリーン」は「ジェネラルエリア」に名称変更

2018年まで適用されていた旧ルールでは、ティーグラウンドからグリーンまでの範囲から、池やバンカーなどのハザードを除いた区域を「スルー・ザ・グリーン」と定義していましたが、2019年から適用された新規則では「ジェネラルエリア」という名称に変更されています。エリアの対象となるのは、フェアウェイやラフ、修理地やグラスバンカーなどで、コースの大部分を占めています。

「ウォーターハザード」は「ペナルティエリア」に名称変更

2018年まで適用されていた旧ルールで「ウォーターハザード」や「ラテラルウォーターハザード」と呼ばれていた区域は2019年からはペナルティエリアという呼称に変更されました。ペナルティエリアには池やクリークなどの水域だけでなく、ボールを見つけること、ショットすることが困難な林や崖などの場所も指定でき、1打罰での救済措置が認められます。

「バンカー」と「パッティンググリーン」は名称変更なし

バンカーとパッティンググリーンについてはこれまでの呼び方から変更はありません。名称は変わりませんが、バンカーやグリーン内でのルールは一部改正されています。ルールの変更点に関しては後述していますので、ご確認ください。

ローカルルールとして適用できるようになるOBやロストボールの前進2打罰

OBやロストボール の前進2打罰がローカルルールとして適用できるように!

打った球がOBまたはロストボールとなった際は1打罰を受けて元の場所から打ち直すのが基本的な処置となっています。
この処置に変更はありませんが、2019年のルール改正からはローカルルールとして前進2打罰を適用できるようになり、ボールを紛失した場所付近から2打罰でプレーできるようになっています。
つまり、1打目がOBまたはロストボールの場合は、ボールを失くした場所の近くから4打目としてプレーを再開、2打目がOBまたはロストボールの場合は、ボールを失くした付近から5打目としてプレーを再開するということです。

実際のプレー中にボールを失くした際、いちいち元の場所まで戻ることは非効率ですので、特例として前進2打罰の処置を適用したことのあるプレイヤーも少なくないでしょう。2019年からはローカルルールとして正式に採用できるようになりましたので、「本当はルール違反をしている」というモヤモヤを抱えずに、前進2打罰の処置を適用できます。

ただし、前進2打罰はあくまでプライベートなラウンドの効率化を目的とするローカルルールです。公式競技では適用されませんので、競技に出場される方はお気を付けください。

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パッティンググリーンでのプレーに関するルール改正

ピン(旗竿)を立てたままのパッティングが認められるようになりました

2018年まで適用されていたゴルフルールではグリーン上でパットをする際は、ピンを抜かなくてはなりませんでした。仮にピンを抜かずにパットしてカップインした場合は2打罰が課されていました。

2019年からはこのルールが改正され、ピンを抜かずにパットをすることが認められています。ピンに当たってボールがカップインした場合も無罰となりました。
グリーン周りで苦戦しているプレイヤーがいた場合、全員がグリーンオンするのを待たなくてもパッティングを始めることができるので、プレー効率の向上が期待できます。

グリーン上の修復について

2018年まで適用されていた旧ルールではグリーン内で自分のプレー線上に傷んだ箇所があった場合、修復が認められるのはボールマークとホールの埋跡のみでした。それ以外の損傷箇所(スパイクマークや動物の足跡など)を修復した場合には、ライの改善があったとみなされ、2打罰が課される重大な反則行為として定義されていました。つまり、ボールマークとホールの埋跡以外でパットのラインを変えてしまうような損傷があったとしても不運として受け入れるしかなかったということです。

2019年から施行された新ルールでは、ボールマークとホールの埋跡以外の修復も認められるようになっています。不運でパットのラインが変わってしまうのを防ぐことができるだけでなく、グリーンの芝の保全にもつながります。

グリーン上でプレー線上の芝に触れる行為について

2018年まで適用されていた旧ルールではグリーン上で自分のプレー線上の芝に手やクラブで触れることが禁止されており、違反した場合には2打罰が課されていました。

2019年からはこのルールが改正され、プレー線上の芝に触れても無罰となっています。
このルールはプレイヤー自身だけでなく、キャディーさんにも適用され、パットの狙い目を指で触ることもできるようになりました。
ただし、触れるのがOKになったとはいえ、強く押して固めるなど「ライの改善」にあたる行為は従来通り2打のペナルティが課される反則行為ですので、ご注意ください。

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バンカーでのプレーに関するルール改正

バンカー内のルースインペディメントの除去が認められます

2018年まで適用されていたルールではバンカーなどのハザード内にあるルースインペディメント(小石や木の葉などの自然物)を取り除くことが禁止されており、違反した場合には2打罰が課されていました。
2019年の改正からはバンカー内のルースインペディメントを取り除くことが認められるようになっており、プレーへの影響が減るだけでなく、石などによってクラブが傷つくこともなくなるので、プレイヤーにとっては大変有益なルール改正と言えますね。

2打罰でバンカーの外からプレーできる

ショットが困難な場所に球が止まってしまった場合、「アンプレヤブル」を宣言すれば、以下の3つのうちのいずれかの救済を受けることができます。

①前のショット地点に戻って打ち直し(1打罰)
②球が止まっていた場所から、2クラブレングス以内かつホールに近づかない範囲内にドロップしてプレーを再開(1打罰)
③球が止まっていた場所とホールを結ぶ後方線上の点から1クラブレングスの範囲にドロップしてプレーを再開(1打罰)

ただし、バンカー内の球に対してアンプレヤブルを宣言し、②または③の救済を受ける場合には、球をドロップする範囲はバンカー内に限られるという条件が加わります。

2019年から適用された新規則では、バンカー内でのアンプレヤブルの救済措置に

④2打罰でホールとバンカー内の球を結ぶ後方線上の点から2クラブレングス以内かつバンカー外に球をドロップしてプレーを再開

という選択肢が加わりました。
つまり、2打罰を受け入れれば、球をバンカーの外に出してからプレーを再開できるということです。
これはバンカーが苦手な初心者の方にとっては、大変ありがたいルール改正ではないでしょうか。
中上級者の方であっても、目玉やアゴが高いバンカーなど2打罰でバンカー外からプレーした方が良いケースも想定され、上手に活用すればスコアが改善するだけでなくプレー時間の短縮にもつながります。

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ペナルティエリアでのプレーに関するルール改正

前述しましたが、ペナルティーエリアとは競技委員会が1打罰での救済を認めたいエリアのことを指します。具体的には池などの水域、崖、雑木林などボールを見つけること、ショットすることが困難な区域が指定されます。

ペナルティエリア内のルースインペディメントを取り除けるようになりました

2018年まで適用されていた旧ルールでは、バンカーと同様にハザード内のルースインペディメント(小石や木の葉などの自然の障害物)を取り除くのは、2打罰が課される反則行為として定義されていました。

2019年からはペナルティエリア内のルースインペディメントを取り除くことが認められています。

ペナルティーエリア内で打つ前にクラブを地面につけることが認められる

2018年までの旧ルールでは、ペナルティエリア内からのショットの際に、打つ前にクラブを地面につけることは禁止されており、違反した場合には2打罰が課されていました。

2019年からはペナルティエリア内でも打つ前にクラブを地面につけることが認められ、ジェネラルエリアと同様にプレーできるようになっています。

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救済とドロップに関するルール改正

救済エリアを計測するクラブ

2018年まで適用されていた旧ルールでは救済エリアの計測に使うクラブは、ラウンドに使用するために持ち運んでいるクラブであればどれを使っても問題ありませんでした。

2019年から施行された新規則では救済エリアの計測に使用するクラブは、プレイヤーがラウンドのために持ち運んでいるクラブの中で、パターを除いて最も長いものと定義されました。(たいていの方はドライバーが適用されるでしょう。)

救済を受ける際に球を取り替えることが認められました

2018年まで適用されていた旧ルールでは無罰の救済を受ける際は球の取り替えをすることが禁止されていました。カート道などで球が傷ついたとしてもそのままプレーしなければなりませんでした。

2019年から施行された新規則では罰の有無にかかわらず、救済を受ける際の球の取り替えが認められています。

ボールは膝の高さからドロップする

2018年までの旧ルールでは救済を受ける際は肩の高さから球をドロップするよう規定されていました。

2019年からは、これが膝の高さからに変わっています。低い位置からドロップすることになるので、落下した球に勢いがつきにくくなり、救済エリア内に止まりやすくなります。
救済エリア内に球が止まりにくい傾斜地などで、再ドロップが必要となるケースも減るので、プレー時間の短縮につながります。

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無罰となるルール改正

偶然、球を動かしてしまった際の罰打が免除されました!

2018年まで適用されていた旧ルールでは故意でなくてもプレイヤー自身またはプレイヤー陣営の関係者が球を動かしてしまった場合には、1打罰を受けて球を元の場所に戻し、プレーを再開することとなっていました。

【罰打の対象となっていた具体例】
・球を探しているときに蹴ってしまった
・グリーン上でマークやリプレースをする際に球が動いてしまった

2019年から施行された新規則では上記のような例で偶然、球を動かしてしまった際の罰が免除されています。

自打球、2度打ちが無罰になりました!

2018年までの旧ルールでは、打った球が自分や自分のキャディー、カートやキャディーバッグなどの携帯品に当たってしまった場合は自打球とみなされ、1打罰を受けてボールが止まった位置からプレーを再開することとなっていました。
打ったボールが2度以上クラブに当たってしまう2度打ちの場合も同様です。

2019年から施行された新規則では「自打球」と「2度打ち」、いずれの場合も罰打が免除されました。
不運な出来事で受ける罰が減るので、こちらもプレイヤーにとって嬉しいルール改正となっています。

プレーペースの支援に関するルール改正

球の捜索時間が3分に短縮される

2018年までの旧ルールでは球の捜索時間は5分以内とされており、5分が経過したら紛失球の処置を取ることとなっていました。

2019年からは球の捜索時間が3分以内に変更となっています。
基本的にはプレー時間が短縮されるルール改正ですが、球を紛失するリスクは高まります。
前進2打罰のローカルルールが適用できない競技などの際には、少しでも怪しいと思ったら暫定球を打っておいた方が無難です。

ストロークは40秒以内

ストロークを簡単に説明するとボールを打つ動作のことです。
2019年から適用される新規則では、プレショットルーティンからボールを打つまでの一連の動作を40秒以内に済ませることが推奨されています。

レディーゴルフの推奨

ゴルフではホールまでの距離が長いプレイヤーが先に打つのが一般的です。
2019年からは準備のできたプレイヤーから先に打つ「レディーゴルフ」が規則において推奨されます。
状況に応じて打順を柔軟に変えることで、よりスピーディーにプレーできるようになります。

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選手に帯同するキャディーに関するルール改正

グリーン上でボールを拾ってマークすることが認められました!

2018年までの旧ルールではキャディーさんがプレイヤーの球に触れる際にはその都度、承認を得ることが義務付けられていました。
2019年から施行された新規則では、パッティンググリーン内に限って、承認を得ずともプレイヤーの球をマークして拾い上げることが認められています。
キャディーさんのプレー補助に関する規制が緩和されることにより、効率よくプレーが進められるようになっています。

スタンスを取った後にプレイヤーの後方に立つことが禁止されました

2019年からはプレイヤーがスタンスを取った後に、キャディーさんがプレー線上の後方に立つことを禁止するという規則が追加されました。この規則に違反した場合、ストロークプレーにおいては2打の罰が課されます。

<2/15追記>
ただし、プレー線上の後方にキャディーさんが立った場合でも、一旦アドレスを解いてスタンスから離れた場合には、違反とならないことが2019年2月6日(水)に発表されました。米男子ツアー、ウェイストマネジメント フェニックスオープンやオメガドバイデザートクラシックにて本ルール違反のプレーについて物議が醸された結果、ルールの改正が行われました。

その他のルール改正

救済を受ける際、マーカーへの告知が不要となっています

2018年までの旧ルールにおいては、救済を受ける際はマーカーへの告知が必要でしたが、2019年からはその必要がなくなっています。(競技の際には、自分のスコアの記録は同伴競技者が務めます。マーカーとは自分のスコア記録を担当するプレイヤーのことです。)新規則においては、プレイヤーの誠実性を重んじることも方針のひとつとなっています。告知の義務を無くすことでプレー時間の短縮にも繋がります。

距離計測機器が使用できるようになりました!

2018年までの旧ルールでは、距離計測機器の使用が認められるのはローカルルールで許可されている場合のみでしたが、2019年から正式なルールにおいて使用が許可されました。ただし、計測できるのは2点間の距離のみとなっており、高低差や風向きなどの計測は認められません。既に距離計測機器を持っている、あるいは購入を検討されている方は、競技で使用できるモデルなのかを確認されておくと良いでしょう。
また、競技委員会は距離計測機器の使用を禁止するローカルルールを設定することができます。公式競技で使用される方は、ルール確認も怠らないようにしておきましょう。

競技委員会は行動規範を作ることができるようになりました

2019年からの新規則にはプレイヤーの誠実さを重んじるのと同時に、プレー中のマナーやエチケットの水準を引き上げる内容も盛り込まれています。競技委員会はプレイヤーのマナー違反に対して、失格以外の罰則(1打罰や2打罰)を課す行動規範を作ることができるようになりました。
プロ競技においても、怒りに任せてクラブを壊したり、池や林に捨てたりするなど、ゴルファーとしてふさわしくない行為がしばしば見受けられます。
2019年からはこのような行為にも罰が課されることになるかもしれません。

まとめ

2019年から一新されるゴルフルールは確認できましたでしょうか。
複雑なルールが簡素化され、アベレージゴルファーにとってはプレーしやすくなる改正が大部分を占めているように思います。
プレーの効率化を図るための改正事項も多いので、いつものラウンドにもゆとりができ、さらに楽しめるようになるのではないでしょうか。
難解なルールはありませんので、新たなルールや変更点を覚えて、さらに素敵なゴルフライフを満喫してくださいね。

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